観光客増加による経済効果は歓迎すべきですが、その「光」の裏で生じている観光公害という「影」を、私たちは正面から見つめ直す必要があります。特に吉村知事が問題提起した**外国人観光客の「負担」**について、国民として今こそ深く考えるべきです。

外国人観光客の「免税特権」本当に必要? ― 吉村知事が提起“負担の公平”問題
外国人観光客が消費税を免除される理由とは?吉村洋文大阪府知事の発言をきっかけに、免税制度とオーバーツーリズムの公平性について考えます。観光立国・日本の持続可能な未来とは。
目次
「オーバーツーリズム」問題が深刻化
フジテレビ系「Mr.サンデー」で、大阪府知事の吉村洋文氏が語った「外国人観光客の増加と負担の公平性」が話題になっています。
吉村氏は「経済効果はあるが、オーバーツーリズムの問題もある」「もっと払ってもらうべき」と発言しました。
実際、インバウンドの回復により、観光地では人の波、ゴミ、トイレ不足、マナー問題などが深刻化しています。
■なぜ外国人は消費税を払わなくていいの?
ここで浮かぶ疑問が、「なぜ外国人は日本で買い物しても消費税を払わなくていいのか?」ということです。
その理由は、**「訪日外国人旅行者免税制度」**にあります。
この制度は、日本を観光で訪れた外国人が、一時的な滞在であることを前提に、日本国内で消費したものを国外へ持ち出す場合、消費税を免除するという仕組みです。
つまり、外国人が日本で商品を購入して自国に持ち帰ることを想定した制度で、
「日本国内での最終消費ではない」とみなして、税を免除しているのです。
🛍️ 免税制度の根拠
消費税の免税制度は、主に以下の点に基づいています。
- 消費税の原則: 消費税は、国内での商品・サービスの最終消費に対して課される税金です。
- 輸出免税: 輸出品に対しては、消費税が課されません(これを輸出免税といいます)。これは、輸出先の国で消費税に相当する税金が課されるため、二重課税を防ぐ目的もあります。
- 非居住者への適用: 訪日外国人などの「非居住者」が日本で購入し、自国へ持ち帰る物品は、日本国内で消費されないため、輸出品と同じ扱いとなり、消費税が免除されます。(飲食などは国内で消費されるので対象外)
この制度は、正式には「輸出物品販売場制度」といい、消費税法に定められています。
■免税制度の目的と現実
この制度の狙いは、観光を促進し、観光客に消費税の負担をかけずに買い物をしてもらうことで、日本の観光立国推進やインバウンド消費の拡大を図る目的もあり、外国人の買い物需要を取り込むことでした。
たしかに、円安も追い風となり、ブランド品や家電、化粧品などの爆買いが経済を支えた時期もあります。
しかし現在は、観光客の数がコロナ前を超え、
「免税制度が日本の観光インフラへの負担を増やしているのでは?」という指摘も出ています。
たとえば、観光地の清掃費や交通混雑への対策費は、日本の自治体が負担しています。
一方で、外国人観光客が支払う税金は限られています。
入国税(国際観光旅客税)は1,000円ですが、それでは到底まかないきれません。
■吉村知事の提案:「もっと払ってもらうべき」
吉村知事は番組内で次のように述べています。
「外国人には免税措置があって消費税を払わなくていい。
こんなのやめたらいいと思う。もっと払う能力があるんだから払ってもらうべき」
この発言は、単に“外国人への不満”ではなく、「公平な負担」の問題提起といえます。
観光地が疲弊している一方で、外国人観光客の数だけが増え続ける。
日本の生活者や自治体がその“しわ寄せ”を負担しているのが現実です。
■公平な観光のあり方を考える時
日本は「観光立国」を掲げ、外国人観光客の受け入れを拡大してきました。
しかし、観光が“地元の人の負担”の上に成り立つようでは、持続的とは言えません。
💰 「負担」を求めるための具体的な選択肢
吉村知事は「もっと払ってもらうべき」と強く主張しています。その具体的な方策として、私たち国民も以下の選択肢を真剣に考えるべきです。
- 観光目的税(Taxes for Tourists)の新設・強化:
- 宿泊税の拡大・増額に加え、入国時や出国時に課す**入国税・出国税(観光税)**を検討し、その収益を直接的にオーバーツーリズム対策や地域住民への支援に充てる。
- 消費税免税制度の廃止または見直し:
- 免税を廃止し、すべての観光客に消費税を負担してもらう。
- 不正転売防止策を強化しつつ、現行の「リファンド方式」(購入時に支払い、出国時に還付)を、不正防止とコスト削減の観点から徹底する。
- 料金体系の二重化:
- 美術館、城郭、公園などの公的施設において、**外国人料金(非居住者料金)**を設定し、その差額を保全・維持費用に充てる。
このように、観光客から適切な税負担を求め、その税金を清掃・交通・観光マナー対策などに使う仕組みづくりが必要です。
上記のように、免税制度の見直し、観光地ごとの滞在税の拡充、入国税の引き上げなどが考えられます。
最後に:観光の「共生」をめざして
観光は「おもてなし」であり「共生」です。
しかし、どちらかが一方的に負担していては、真の共生とは言えません。
吉村知事の「もっと払ってもらうべき」という発言は、単なる経済論ではなく、
“観光立国・日本”の持続可能性を問う言葉として、私たち一人ひとりが考えるきっかけにすべきでしょう。
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